ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サチュロス劇」の意味・わかりやすい解説 サチュロス劇サチュロスげきSatyros play ギリシア演劇の一種。形式は悲劇に似ているが,滑稽な神話伝説を扱う。合唱隊はサチュロス神に扮して,卑猥なせりふとしぐさで観衆を笑わせる。ヘラクレスが半道化役として現れることがあった。プラチナスがこの形式の創始者であると伝えられ,前5世紀には,日本の能と能の間に演じられた狂言のように,同一作者の3編の悲劇のあとで上演されたが,のち前4世紀には悲劇と分離し,政治的風刺劇として上演されるようになった。オデュッセウスのキュクロプス退治を題材にしたエウリピデスの『キュクロプス』 Kyklōpsが現存する唯一の完全なサチュロス劇で,ほかにはソフォクレスの『追跡者たち』 Ichneutaiの断片が残っている。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by