サチュロス劇(読み)サチュロスげき(その他表記)Satyros play

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サチュロス劇」の意味・わかりやすい解説

サチュロス劇
サチュロスげき
Satyros play

ギリシア演劇一種。形式は悲劇に似ているが,滑稽な神話伝説を扱う。合唱隊はサチュロス神に扮して,卑猥なせりふとしぐさ観衆を笑わせる。ヘラクレスが半道化役として現れることがあった。プラチナスがこの形式の創始者であると伝えられ,前5世紀には,日本の能と能の間に演じられた狂言のように,同一作者の3編の悲劇のあとで上演されたが,のち前4世紀には悲劇と分離し,政治的風刺劇として上演されるようになった。オデュッセウスキュクロプス退治を題材にしたエウリピデスの『キュクロプス』 Kyklōpsが現存する唯一の完全なサチュロス劇で,ほかにはソフォクレスの『追跡者たち』 Ichneutaiの断片が残っている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む