日本大百科全書(ニッポニカ) 「イシビル」の意味・わかりやすい解説
イシビル
いしびる / 石蛭
環形動物門ヒル綱インビル目イシビル科Erpobdellidaeの総称。この類は肉食性にもっともよく適応した消化器官をもち、咽頭(いんとう)は長くて3条の筋肉性のひだがあり、あごはなく、まれに1~3本の牙(きば)をもっている。胃には盲嚢(もうのう)がない。ナミイシビルErpobdella octoculataは、湖や河川にすみ、アジア、ヨーロッパに広く分布し、昆虫の幼生、貝類、ミミズなどを食べる。シマイシビルE. lineataは、背面が茶褐色から暗緑色まであり、中央に色がやや淡い縦縞(たてじま)があり、池や河川にすみ、水底やその他の物の上に茶褐色の扁平(へんぺい)な楕円(だえん)形の卵嚢を産む。キバビルOdontobdella blanchardiは体長20センチメートルになり、3本の牙をもち、池や沼にすむが湿地にもはい出てくる。マネビルMimobdella japonicaは体長10センチメートルくらいで、日本に広く分布し、池や沼にすむが、湿地にもはい出てきて、あごや牙をもたないのにミミズなどをとらえて食べる。
[今島 実]