日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌノシタ」の意味・わかりやすい解説
イヌノシタ
いぬのした / 犬舌
dog tongue fish
[学] Cynoglossus robustus
硬骨魚綱カレイ目ウシノシタ科に属する海水魚。南日本以南、東シナ海、南シナ海、黄海に分布する。吻(ふん)はかぎ状に腹方へ曲がり、先端は下眼の前縁下に達しない。側線は体の背縁と中央部の2本で、その間に10~11枚の鱗(うろこ)がある。無眼側に側線がない。口の周りにひげ状物がない。鱗はきわめてはがれやすい。体は全体に淡赤褐色。水深20~120メートルの砂泥底にすみ、小型の甲殻類や多毛類などを食べる。産卵期は6~8月ごろ。1年で体長14センチメートル、3年で26センチメートル、4年で42センチメートルになる。底引網などで多量に漁獲される。煮つけ、フライ、ムニエルなどにする。やや臭みがあるものの、味はウシノシタ類のなかで上位である。東シナ海以南、西太平洋、インド洋にテンジクイヌノシタCynoglossus arelがいるが、2本の側線の間の鱗は7~9枚あることで区別できる。
[尼岡邦夫]