イバラノリ(その他表記)Hypnea

改訂新版 世界大百科事典 「イバラノリ」の意味・わかりやすい解説

イバラノリ
Hypnea

寒海域を除く世界各地の海に分布するイバラノリ科の海産紅藻。体は円柱状または扁平で,分枝した枝は互いに絡み合って全体はかたまりをつくるものが多い。高さは10~20cmのものが多いが,さらに大きくなる種類もある。日本沿岸だけでも10種以上が生育し,よく見られる種類として,イバラノリH.charoides Lamour.,サイダイバラH.saidana Holmes,タチイバラH.variabilis Okamura,カギイバラノリH.japonica Tanakaなどがある。イバラノリは枝を不規則に出すが,サイダイバラは小枝を水平に出し,タチイバラは茎が扁平で上方でのみ枝を水平に出す。またカギイバラノリは枝の先端がかぎ(鉤)のように曲がる特徴がある。これらはすべて寒天の原料として利用される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イバラノリ」の意味・わかりやすい解説

イバラノリ(茨海苔)
イバラノリ
Hypnea charoides

紅藻類スギノリ目イバラノリ科。潮間帯の下部から漸深部にかけての岩上に生育する。藻体の基部は太さ 3mm,棒状であるが上に向って細かく分枝する。先端はとがっていて互いにからみ合って大きな団塊になる。質はもろい。原則として紅色であるが黄色を呈することもある。本州の太平洋岸中南部,内海南西諸島,九州西北岸および日本海岸にかけて分布し,シナ海,マレー諸島,ポリネシア,オーストラリア,インド洋にも知られている。この属のサイダイバラノリは枝が水平に分岐し,潮間帯の岩上に生じる。カギイバラノリは枝の頂端鉤状をなし,枝のところどころに付着器をもっていて,ホンダワラ類の枝に着生する。

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