イブン・ケマル(その他表記)İbn Kemal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イブン・ケマル」の意味・わかりやすい解説

イブン・ケマル
İbn Kemal

[生]1468?
[没]1534.4.16. イスタンブール
16世紀のオスマン帝国を代表する学者,歴史家。本名 Kemalpaşa-zâde Ahmet Şemseddin。若い頃は武人として名をあげたが,その後,学問に励み,イスラム神学院教授,大法官を経て,1525年にシェイヒュル・イスラム (イスラム最高法官) に就任し,死にいたるまでこの職責を果たした。イドリス・ビトリスィの『七つの楽園』 Heşt-Behiştのトルコ語訳や,ペルシア語,トルコ語による詩,散文に優れた。特に歴史家として名高く,代表作は,モハッチの戦い (1526) を描いた『モハッチの書』 Mohaç-nâme,『オスマン王家の歴史』 Tevârîh-i Âl-i Osmân。

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世界大百科事典(旧版)内のイブン・ケマルの言及

【トルコ文学】より

… 散文においては,宮廷史官によるオスマン朝史の編纂が始まり,前代の素朴な年代記とは対照的な荘重華麗な歴史叙述が見られた。イブン・ケマルIbn Kemal(?‐1535),ホジャ・サーデッディン(1536‐99)は,史実の記録よりも文章の彫琢に重点をおく典型的な王朝史家である。一方,ムスタファ・アーリー(?‐1606),ペチェビー(?‐1650),シラフダール(?‐1723)は,より簡素な文体で同時代史を記録し,キャーティプ・チェレビーナイーマ・エフェンディー(ムスタファ・ナイーム)は,独特の歴史哲学を確立した。…

※「イブン・ケマル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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