ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パウルス3世」の意味・わかりやすい解説
パウルス3世
パウルスさんせい
Paulus III
[没]1549.11.10. ローマ
カニノ出身の第220代教皇(在位 1534~49)。本名 Alessandro Farnese。最後のルネサンス教皇であり,反宗教改革を指導した最初の教皇。貴族出身で,ロレンツォ・デ・メディチのもとで教育を受け,1493年助祭枢機卿(→カーディナル)となり,1534年10月に教皇に選出された。親族を重用し奢侈を好む野心家だったが,優秀な人材を枢機卿に任じ,時代の要請にこたえて改革を推進した。1538年,イギリス国教会(→アングリカン・チャーチ)首長となることを宣言した国王ヘンリー8世を破門。新興修道会の設立を促し,1540年にはイエズス会を認可した。1542年には宗教裁判組織を改革し,1545年にはトリエント公会議を開催した。学問と芸術の保護者としてローマ大学を補修,バチカン図書館を整備し,またミケランジェロにはシスティナ礼拝堂に祭壇壁画『最後の審判』を描かせ,サン・ピエトロ大聖堂の建築計画を完結させた。
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