改訂新版 世界大百科事典 「イブンマーサワイフ」の意味・わかりやすい解説 イブン・マーサワイフIbn Māsawayh生没年:777-857 アッバース朝の医者。薬剤師であり,バグダードの宮廷の侍医でもあった父の末子として生まれる。初め聖職者を志すが,ジュンディーシャープールの医学校に学び,教授に就任。後にマームーン以下数代のカリフの侍医を務めた。ギリシア語医書の翻訳のため,文献を収集。バイト・アルヒクマ(〈知恵の館〉の意)建設にも協力した。主著《眼の疾患》は現存するアラビア眼科医書で最古のもの。ギリシア人の知らぬ症状を収録し,〈イエメンの明礬〉〈イスファハーンのアンチモニー〉〈スマトラ産樟脳〉などの新薬物を紹介した。サーマッラーに没。弟子にはフナイン・ブン・イスハークがいた。執筆者:五十嵐 一 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by