日本大百科全書(ニッポニカ) 「イレズミゴンベ」の意味・わかりやすい解説
イレズミゴンベ
いれずみごんべ / 刺青権兵衛
halfspotted hawkfish
[学] Paracirrhites hemistictus
硬骨魚綱スズキ目ゴンベ科に属する海水魚。日本では南西諸島と小笠原(おがさわら)諸島から知られ、ハワイ諸島・イースター島を除く太平洋、インド洋の洋島に分布する。体はこの類ではやや低い。背びれ軟条は11本で、側線鱗(りん)数は48~51枚ある。背びれ各棘(きょく)の先端近くの鰭膜(きまく)から1本の皮弁が出る。胸びれは14軟条で、下部の7軟条は不分枝で、肥厚する。体色に雌雄とは関係のない2型があり、かつてはそれぞれ別種とされていた。第1型では体の背面は緑色で、黒色の斑点(はんてん)があり、腹面は淡黄色。体の中央部のすぐ下に不規則な白色の縦帯がある。第2型では体は灰色で、多数の暗褐色斑があり、体の中央部の少し上に目よりやや小さい白色または桃色の斑紋がある。大型種で、全長32センチメートルほどになる。水深20メートル以浅のサンゴ礁にすみ、サンゴの上で留まっていることが多い。甲殻類、小魚などを食べる。
[尼岡邦夫]