改訂新版 世界大百科事典 「イワシ油」の意味・わかりやすい解説
イワシ(鰯)油 (いわしゆ)
sardine oil
代表的な魚油の一つ。イワシを水または海水で煮沸,圧搾し,搾出した油水を静置することにより浮上した油分を分離して採油する。日本ではおもにマイワシのような大型のイワシを主原料にし,油かすに対し約20%の油が得られる。日本はアメリカと並んで世界の主要生産国である。イワシ油を構成するグリセリドの脂肪酸は炭素数14~24で,とくに不飽和結合の多い高度不飽和脂肪酸(イワシ酸など)を多く含んでいる。また不ケン化物含量は1%内外であり,ビタミンDを相当量含有する。重合油または硬化油として,塗料,製革油,セッケン原料等に利用される。近年,高度不飽和脂肪酸の高血圧防止等の薬理効果が認められ,医薬用にも関心が払われている。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報