コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

硬化油 こうかゆhardened oil

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

硬化油
こうかゆ
hardened oil

加工油脂の一種。魚油鯨油菜種油大豆油などに水素付加反応させて得られる白色固形の脂肪。液体の原料油に水素を添加すると,不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸となり,その脂肪油融点が上昇し固体になる。水素添加の際にはケイ藻土に付着させた還元ニッケルなどを触媒とする。用途は,石鹸,マーガリンろうそく,軟膏,化粧品などであるが,食品の原料にする場合は脱臭処理をする。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典の解説

硬化油

 水素添加油脂ともいう.二重結合が多く融点の低い魚油や植物油の多価不飽和脂肪酸の二重結合の一部を還元して融点を上昇させた油.酸化されにくくなり,適度な硬さがでるので,マーガリンやショートニングなどに使われる.還元過程で二重結合の移動やシス-トランス異性化が起こり,トランス脂肪酸が生成する.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

こうかゆ【硬化油 hardened oil】

不飽和脂肪酸を多く含む油脂に水素を化合させて飽和脂肪酸とすることにより,改質を加えた油脂。ダイズ油,ナタネ油,魚油,鯨油等の乾性油,半乾性油は,その成分にオレイン酸,リノール酸,リノレン酸などの不飽和脂肪酸を多く含み,常温では液体であるが,水素添加することにより,飽和脂肪酸とイソオレイン酸のグリセリドを主成分とする固体の脂肪とすることができる。硬化油の製造は,脂肪油に比べて生産量が比較的少ない脂肪の硬化を目的として行われたが,一方,魚油,鯨油の場合には,その成分の不飽和脂肪酸および含有不飽和化合物が悪臭,変質の原因となるため,これを水素添加して飽和化合物とし,無臭で安定な利用価値の大きなものにするという目的もある。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

こうかゆ【硬化油】

魚油や植物油などの液状の油脂に水素を添加し、その中の不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変えて固化させたもの。悪臭のあるものも無臭となり、また、空気中で酸化されにくくなる。マーガリン・石鹼などの製造原料にする。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

硬化油
こうかゆ
hardened oil

魚油、大豆油、菜種油などの脂肪油に水素添加した白色固体脂肪である。パーム油、牛脂など脂肪を原料とするものもある。部分的に水素添加することも多く、これを半硬化油という。原料油は成分脂肪酸としてオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、高度不飽和脂肪酸などの不飽和脂肪酸を含むが、水素添加油は不飽和脂肪酸に水素が添加して不飽和脂肪酸が減少し、ついには飽和脂肪酸となり、固体脂肪となりうる。水素添加途中で不飽和脂肪酸は多数の異性体を生成する。色調はよくなり、臭気は減少し、ヨウ素価、屈折率は低くなり、融点は上昇し安定になる。工業的に水素添加するには、原料油を反応器中に入れてから、加熱し、水分および空気を除去し、ニッケル触媒を加え、攪拌(かくはん)し、水素を導入加圧する。反応器下部にたまる油を反応器頂部から細雨状に入れることを繰り返して反応させる。硬化油の反応条件は通常4気圧、180℃である。原料油中の特定の不飽和部分(たとえば二重結合二つ以上を有する部分)を選択的に水素添加することを選択的水素添加という。この際1.5~3気圧、175℃が適当である。この反応条件設定は複雑であり、通常、水素添加は回分法で行われる。連続法もある。硬化油の用途は、マーガリン、食用油、せっけん原料、脂肪酸およびグリセリン製造原料である。[福住一雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の硬化油の言及

【魚油】より

…魚油を利用する一つの方法として,工業的にはこれら不飽和脂肪酸を水素添加する。この工程を硬化といい,その製品を硬化油という。硬化には通常,金属ニッケル触媒を用いる。…

※「硬化油」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

硬化油の関連キーワードジェーン・バプティスト サンドランニシン油(鰊油)オレオマーガリンメンヘーデン油トランス酸バフ仕上げサバティエ石鹸・石鹼油脂工業イワシ油植田製油ニシン油にしん油鮫肝油海獣油鰊油鰯油

今日のキーワード

天網恢恢疎にして漏らさず

《「老子」73章から》天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android