日本大百科全書(ニッポニカ) 「油かす」の意味・わかりやすい解説
油かす
あぶらかす
油分に富んだダイズ、ナタネ、ワタなどの植物種子から油を絞った残りかすを精製したものの総称。多くの種類があり、原料によって、大豆油かす、菜種(なたね)油かすなどとよぶ。油かす類は、肥料の三要素、窒素、リン酸、カリウムを含む有機質肥料である。土壌中で分解が比較的緩やかに進行するので、肥効は概して遅効的であり、主として元肥(もとごえ)として用いられている。与えすぎても濃度障害による肥焼けを起こすおそれが少ないことから施設園芸や鉢栽培などに好んで使用される。なお、種類の違いによる肥効の遅速の差はあまりないが、肥料成分の含有量には違いがある。土壌中の分解過程で炭酸ガスや有機酸ができると、作物に悪影響が出るので、水や有機物と混ぜてあらかじめ発酵させ、液肥として用いられることも多い。
複合肥料の配合原料として油かすの需要量が逐次増加してきているが、一方では、油かすは飼料として利用されており、競合が激しく、その供給は飼料事情に大きく左右されている。
[小山雄生]
『黒川計著『日本における明治以降の土壌肥料考 下巻』(1982・全農)』▽『伊達昇・塩崎尚郎編著『肥料便覧』第5版(1997・農山漁村文化協会)』▽『肥料協会新聞部編『肥料年鑑』各年版(肥料協会)』▽『農林水産省生産局生産資材課監修『ポケット肥料要覧』各年版(農林統計協会)』