文書の秘密性の有無を判断するため、裁判所が問題となっている文書そのものを取り寄せ、裁判官が非公開で実際に見て審査する手続き。文書を開示すべきかどうかの判断を、所持している側に任せる不合理を解消するための手法といえる。1998年(平成10)4月の民事訴訟法改正案は、官公庁文書についても裁判所に求められれば提出義務があることを原則とし、拒否できる場合も当否の判断は裁判所側がするとして、インカメラ審理の導入を盛り込んでいる。また、99年5月に成立した情報公開法では、行政側が文書を開示しないことを決め、請求者が不服を申し立てた場合、情報公開審査会の委員は非公開とされた文書を提出するように役所側に求め、実際に見て審査するインカメラの制度を盛り込んだ。ただし、答申内容に拘束力がないため、仮に「公開すべきだ」との答申が出されても役所側が非公開を貫くことは可能である。
[豊 秀一]
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