インシャーアッラーハーン(英語表記)Inśā `Allāh Khān

改訂新版 世界大百科事典 の解説

インシャー・アッラー・ハーン
Inśā `Allāh Khān
生没年:1756ころ-1818

インドのウルドゥー語文学の一派であるラクナウ詩派第1期の詩人。シーア派第6代イマームの家系に連なる名門の出である。ムルシダーバードで生まれた彼は,父に伴われてファイザーバードに移り,16歳の時にアウド王国ナワーブ・シュジャーウッダウラの宮廷に出仕した。非常な美男子で能弁であった彼はナワーブの寵を集めたが,多くのねたみも買い,ナワーブの没後デリーをはじめ各地を転々とした。晩年は再びラクナウに戻った。医学,軍学,修辞学などを修めたほかに多くの言語に精通していたインシャーは,その才気ゆえにムスハフィーはじめ何人もの詩人と深刻な争いを起こした。彼の抒情詩ガザルは,初期には内面性と簡明をむねとする詩風であるのに対し,後半は表面的な技巧と低俗な内容に走っている。最も古い詩集は《クッリヤートKulliyāt》(1824)であるが,その後十数点の詩集が出版されている。《ダルヤーエ・ラターファットDaryā-e Latāfat》(1808)は最初のウルドゥー文法書として特筆すべきものである。
インド文学
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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