ナワーブ(その他表記)nawāb

改訂新版 世界大百科事典 「ナワーブ」の意味・わかりやすい解説

ナワーブ
nawāb

アラビア語ナーイブnā'ibの複数形ヌッワーブnuwwābが転訛したことばで,〈代官長官〉の意味。インドムガル帝国では,地方の知事,代官の称号として用いられた。しかし,18世紀以降ムガル帝国の中央権力が衰え,各地の実力者が勢力をのばして事実上独立した状態になってくると,役職とは無関係にナワーブはまったくの称号と化し,実力者が勝手にみずから名のるようになった。それに伴い,当時インドに進出しつつあったイギリスは,各地方のナワーブと直接交渉した。なお,ナワーブの語がなまって〈ネーボブnabob〉として英語にとり入れられ,〈インド帰りの大金持ち〉などの意味で用いられた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナワーブ」の意味・わかりやすい解説

ナワーブ
nawāb

アラビア語 nā'ib (代官) の複数 nuwwābの転訛した語で,インドのイスラム王朝で地方長官 (太守) の意味に用いられた。特にムガル帝国で用いられたが,18世紀になってムガル中央権力が弱体化すると,各地方のナワーブが独立の政治権力化した。そのなかでもベンガル地方とアワド地方のナワーブは有名である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android