改訂新版 世界大百科事典 「インドゾウ」の意味・わかりやすい解説
インドゾウ
Asiatic elephant
Elephas maximus
長鼻目ゾウ科。アジアゾウともいう。インド,アッサム,ミャンマー,マレーシア,スマトラ,スリランカに分布し,平地から山岳地帯までの草原,雨林,乾燥した森林など,多様な環境に生息する。体長5.5~6.4m,尾長1.2~1.5m,肩高2.5~3m,体重は5tに達する。体色は灰褐色から褐色。アフリカゾウに比べて耳が小さい。前足は5指,後足は4指,ときに5指である。先端の上部に指状の突起をもつ長い鼻は,食物や水を採取して口に運んだり,身づくろいをする際に使われる。暑い日中の数時間物陰で休息する以外は,移動,食事,泥浴びや水浴び,身づくろいなどをして過ごす。食物は草,つる,葉,芽,果実など。水は1日に70~90lも飲む。1頭の老雌と8~20頭の雌およびその子どもからなる群れや,数頭の雄からなる群れを形成する。繁殖期は一定しておらず,雌は607~641日の妊娠期間の後,ふつう1子,ときに2子を生む。天敵はトラ。古くから丸太などの牽引や運搬用の使役獣として利用されてきた。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報