アッサム(その他表記)Assam

翻訳|Assam

精選版 日本国語大辞典 「アッサム」の意味・読み・例文・類語

アッサム

  1. ( Assam ) インド北東部の州。州都ディスプルモンスーン気候で雨量が多く、茶の産地として有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「アッサム」の意味・わかりやすい解説

アッサム[州]
Assam

インド北東端の州。面積7万8438km2,人口2665万5528(2001)。州都はディスプール。ほぼ東西700km,南北50~100kmのブラフマプトラ川の狭長な河谷平野を主とする。同平野の標高は東部で約130m,西部で30mと内陸部に位置する割には低く,平均勾配も12cm/kmにすぎない。そのためブラフマプトラ川は乱流し,川中島の発達が著しい。同川の北は急峻な東部ヒマラヤ山脈から流下する多数の必従性小河川が複合扇状地を形成し,流路を南に押しやっている。南から流入する河川は少なく,シロン高原,ナガ丘陵へとゆるやかに移行していく。4月にはアッサム河谷は北熱帯低圧帯に入るため,南西モンスーンがここに引き寄せられて大量の雨をもたらす。年降水量は2200mm以上であるが,北のヒマラヤ山脈部と東部に多い。

 古来,チベットビルマ語族やタイ語族の言語を話すモンゴロイド系諸民族がインド亜大陸へ流入してきたが,当地はその通路にあたり,彼らとインド・ヨーロッパ語系のアッサム人,ベンガル人との融合によって現在のアッサム文化の基礎がつくられた。5世紀以降,諸王朝の興亡のあとをうけて,13~19世紀初にアホームAhom王国を樹立したアホーム族はタイ語系の部族である。同王国のもとでベンガル地方との接触が増大し,インド文化が流入した。1826年にはイギリス領となり,独立後は種々の変遷の後,1972年に現在の州域となった。産業は農業を中心とする。作付面積の2/3以上を米が占めるが,アッサムの特色は茶のプランテーションの発達にある。その歴史は1823年のアッサム種茶樹の発見にさかのぼる。現在も茶農園の平均規模は約200haと大きく,生産量も全国の過半を占める。ジュートは西部のブラフマプトラ川ぞいを産地とし,カルカッタ(現,コルカタ)周辺に移出される。鉱産資源は東部の石油・天然ガス,南東部の石炭を主とする。原油は埋蔵量・生産量ともにインド全体の約半分を占めている。工業は茶を中心とする農産加工と石油化学を主とする。
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百科事典マイペディア 「アッサム」の意味・わかりやすい解説

アッサム[州]【アッサム】

インド北東部の州。中国,ブータンミャンマーバングラデシュに囲まれる。大半が山岳地帯。住民はインド・アーリヤ系のアッサム人のほか,ボドなどチベット・ビルマ語系の少数民族が多く,大半はブラマプトラ川および南部のスルマ川渓谷に集中している。主産物は茶,ジュート,米,サトウキビ,果実,木材。工業は農産物加工,精油があり,石炭,石油を埋蔵する。なお,世界で初めて陸稲栽培が行われたところとされる。13―19世紀にはアホム王国が栄えた。1826年英保護領。ベンガルとの合体,分離を繰り返し,1947年インドの一州。1963年東部ナガランド,1972年メガラヤ,マニプル,トリプラ,1986年アルナーチャル・プラデーシュ,1987年ミゾラムが分離。州都ディスプール。7万8438km2。3120万5576人(2011)。→アッサム問題
→関連項目インドタイ[人]マナス野生動物保護区

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アッサム」の意味・わかりやすい解説

アッサム
あっさむ
Assam

インド北東部の州。北部をブータンとアルナーチャル・プラデシュ州、東部をナーガランド、マニプル両州に、南部をミゾラム、トリプラ、メガーラヤの各州に、西部を西ベンガル州とバングラデシュ北部に接している。バングラデシュの国土により、インドの他地域から分離された形となっている。かつては周辺の6州を含めてアッサム州であったが、分割されて今日の形に再編成された。州都はグワハチにあったが、ディスプルという新しい州都が近くにつくられた。面積7万8438平方キロメートル、人口2663万8407(2001)、3120万5576(2011センサス)。人口密度は1平方キロメートル当り398人(2011)で、インドの州のなかでは低いほうに属する。

 ガンジス川に河口で合流するブラマプトラ川の流域とその周辺の丘陵地帯よりなり、住民はアジア(モンゴロイド)系のアッサム人よりなる。気候は熱帯モンスーン気候で、6月から9月にかけて雨期となる。年降水量は2000ミリメートル以上となり、とくにヒマラヤ山麓(さんろく)では1万ミリメートルに達して世界最多雨地帯の一つとなっている。農業が主産業で、米と茶が中心である。そのほか低地帯ではジュート(黄麻(こうま))が栽培される。茶は重要な産業で、周辺の西ベンガル州やビハール州などから茶摘み期には労働者が出稼ぎにくる。製茶業も州内の各都市にある。工業は未発達であるが、手工業によるアッサム・シルク(絹織物)は有名である。ほかにデグボイ付近では石油が採掘されている。いわゆる照葉樹林文化の発祥地であり、豊かな熱帯であるが、インドの辺境にあるため多くの民族が居住し、言語、宗教も複雑である。

[北川建次]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アッサム」の解説

アッサム
Assam

インド東北部の州名。東西にブラフマプトラ川が流れる。チベット・ビルマ系,タイ系,インド・アーリヤ系の諸民族が来住したが,13世紀から19世紀初めまでタイ系のアホム王国が存続した。1826年にイギリス領となり,プランテーションが発達。現在も茶の生産地として知られる。インド独立後は州再編をへて,1972年に現在の州域を持つアッサム州が確定した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「アッサム」の解説

アッサム
Assam

インド東北部の州
19世紀初頭ビルマ軍が侵攻,ベンガル防衛を考えたイギリスがビルマに宣戦し,戦争の結果アッサムはイギリス領となる。いっぽう19世紀初頭にイギリスは野生の茶をアッサム地方で発見し,アッサムは茶生産の一大中心地となった。現在は原油の産出で知られる。

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飲み物がわかる辞典 「アッサム」の解説

アッサム【Assam】


紅茶の銘柄の一つで、インド北東部のアッサム地方に産するもの。中国種より葉が大きい。水色(すいしょく)が濃く、こくが深い。

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世界大百科事典(旧版)内のアッサムの言及

【紅茶】より

…彼は中国から茶樹を持ち帰り,カルカッタで移植を試みたが成功しなかった。ところが1823年,イギリスが長年探し求めていた野生の茶が,インド・アッサムの奥地でロバート・ブルースの手によって発見された。それはやがて中国種と品種を異にするアッサム種であることがわかり,茶の歴史上,世紀の大発見となる。…

※「アッサム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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