インド絵画(読み)インドかいが(その他表記)Indian painting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インド絵画」の意味・わかりやすい解説

インド絵画
インドかいが
Indian painting

インド絵画史上特記すべきものとしては次の3点があげられよう。 (1) 岩陰および岩面の壁画 約1万年前頃から始まったと考えられる。中部インドが中心で,1973年に発見され,岩面画の数において世界的なビームベトカ石窟群がある。そこにはわずかな彩色で狩猟,戦闘,舞踊などのシーンが描かれている。 (2) 石窟寺院の壁画 アジャンタ壁画は仏教的主題の大画面によって世界的に有名であるが,その他エローラ,カーネリー,バーダーミ石窟などの壁画がある。開窟は紀元前からであるが,絵画の隆盛は6~7世紀以後。開窟の停止した中世には,絵画の場は宮廷や個人邸宅へと転じ,画面も次第に極小となった。 (3) 中世および近世におけるミニアチュール (細密画)  ジャイナ教の経典挿絵が 11世紀から起こり,15~16世紀から 19世紀前半までは,古代壁画の伝統的技法に基づいたヒンドゥー教ラージプート絵画や,イスラム,ペルシアの影響を受け,世俗的絵画を得意としたムガル絵画が華々しく展開した。

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世界大百科事典(旧版)内のインド絵画の言及

【インド美術】より

…現在のインド,ネパール,バングラデシュ,スリランカ,パキスタン,アフガニスタンの一部よりなるインド亜大陸で,前3千年紀以来おこなわれた美術の総称。そのほとんどがインド固有の仏教,ジャイナ教,ヒンドゥー教,あるいは外来のイスラムに基づく宗教美術であり,強い宗教性と独特の官能性とを顕著な特色とし,アジア各地の美術に多大な影響を及ぼした。古代には仏教が造形活動を主導し,ヒンドゥー教美術は古代末期からしだいに盛んになり中世前期に最盛期を迎えた。…

※「インド絵画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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