改訂新版 世界大百科事典 「ウサギノオ」の意味・わかりやすい解説
ウサギノオ
hares-tail-grass
Lagurus ovatus L.
花序部を干してドライフラワーとして用いられるイネ科の一年草。下部で枝分れした高さ20cm前後の細い茎がある。葉は茎や葉鞘(ようしよう)とともに毛があり,幅の狭い披針形で,長さ8cm,幅1cm弱である。夏に向かって茎の頂に,長さ2~4cmの楕円形で,全体に白っぽい毛と,褐色の芒(のぎ)に包まれた花穂を出し,この花序がノウサギの尾にそっくりなため,ギリシア語でノウサギlagosの尾ouraという属名が与えられ,英名も和名もその直訳である。小穂は長さ1cmくらいで,小さな1小花があり,穎(えい)は密な白い軟毛に包まれ,小花に長い芒がある。地中海地方の原産で,南ヨーロッパからカフカス地方に分布し,アメリカ各地で観賞用に栽培している。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報