日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウッドソン」の意味・わかりやすい解説
ウッドソン
うっどそん
Carter Goodwin Woodson
(1875―1950)
アメリカ合衆国の黒人歴史家。無視され歪曲(わいきょく)され続けてきたアメリカ黒人の歴史を、黒人自らの手で真実に即した科学的な歴史にするために貢献した先駆的役割により「黒人史の父」とよばれている。バージニア州ニュー・カントンに生まれる。貧乏のため晩学で20歳を過ぎてやっと高校を卒業、その後苦学しながらベリア大学(ケンタッキー州)、シカゴ大学、ハーバード大学に学び、1912年にハーバード大学から博士号を得た。さらにパリのソルボンヌ大学でも研鑽(けんさん)を重ねた。15年に同志とともに「アメリカ黒人の生活・歴史研究協会」を創設、翌年には『黒人史ジャーナル』を発刊し、また21年にアソシエイテッド・パブリッシャーズ社を設立するなど、黒人史の研究・教育・宣伝の普及に生涯を捧(ささ)げた。彼がまいたこれらの種は風雪に耐えて成長し、今日の「ブラック・スタディーズ」の隆盛のなかでみごとに開花、結実した。50年4月4日ワシントンDCにて没。代表的著作に『南北戦争前の黒人教育』Education of the Negro prior to 1861(1919)、『アメリカ黒人史概説』The Negro in Our History(1922)、などがある。
[本田創造]