改訂新版 世界大百科事典 「ウリアル」の意味・わかりやすい解説
ウリアル
urial
shapu
Ovis vignei
ヒツジに似て角が大きく,首の下に長毛の房がある偶蹄目ウシ科の哺乳類。カシミール,パンジャーブ,シンド,バルーチスターンからイラン東部までの山地に分布。雄は肩高80~90cm,角は太く,長さ50~75cm,ときに100cmに達し,弧を描いてほぼ1回転し,先端はふつう前外方に向かう。雌の角は短くほとんどまっすぐ。雄ののどと首の下面には長い毛の房があり,その前部の毛は白く,後部のは黒い。体毛は夏毛では赤褐色を帯びた灰色,冬毛では褐灰白色である。しばしばアルガリO.ammonの亜種とされるが,染色体数2n=58で,アルガリの56と異なっている。峡谷でくぎられた山腹の岩の多い草原から,森林限界以上の高山草原まで,種々の環境に3~30頭の群れですみ,きわめて用心深い。交尾期はふつう9~10月,このころ雄は3~4頭の雌を従えてハレムをつくる。妊娠期間は不明だが,4~6ヵ月と推定されている。1腹1~2子。家畜のヒツジが放牧されている地方では,それらと自由に交配するといわれる。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報