日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
エイイットル・スカットラグリームスソン
えいいっとるすかっとらぐりーむすそん
Egill Skallagrímsson
(910―990ころ)
アイスランドの首長、詩人。その一生を語る長編サガ『エイイットル・スカットラグリームスソンのサガ』によれば、幼時から大力と詩才に恵まれ、15歳で海外に出て、バイキングとして勇名をはせる。祖父の代からのノルウェーの王家との不和に巻き込まれ、いったんはその手中に落ちた宿敵「血斧(ちおの)のエイリーク王」に歌を捧(ささ)げて助命される。そのときの頌歌(しょうか)『首の身代(みのしろ)金』、戦死した親友を回想し友情と感謝を歌った『アリンビョルンの歌』、次々に有能な息子を失った父の悲哀を吐露した『ソナトレク』の三大長編詩は有名で、アイスランドの誇る中世の国民詩人とされている。
[谷口幸男]
『谷口幸男訳『アイスランドサガ』(1979・新潮社)』