化学辞典 第2版 「えい糸性」の解説
えい糸性
エイシセイ
thread forming property, spinnability
可紡性ともいう.納豆やトロロイモの溶液など,ある種の高分子溶液にみられる,よく糸をひく性質をいう.実用上からは紡糸に関係すると考えられ,古くから検討された.液体の表面張力には直接関係なく,粘性がもっとも関係するとみられたが,必ずしもこれのみでなく,弾性的要因も大きい.現在では,両者の複合した液体の粘弾性の現れであり,一種の力学的緩和現象と考えられている.測定には液中に入れたガラス棒を一定速度で引きあげ,糸の切れるまでに引きあげた長さでえい糸性を示すことが多い.高分子化合物の合成後に溶融物または溶液のえい糸性の有無より繊維形成能の目安にすることもある.また,なせんのりの流動特性を表す指標としても用いられている.えい糸性の高いのりのほうがなせん効果がよくなる.[別用語参照]繊維形成能
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報