エゴノネコアシアブラムシ(その他表記)Ceratovacuna nekoashi

改訂新版 世界大百科事典 の解説

エゴノネコアシアブラムシ
Ceratovacuna nekoashi

半翅目アブラムシ科の昆虫エゴノキに寄生して虫癭(ちゆうえい)をつくるアブラムシの1種。日本,中国から東南アジアに分布する。虫癭は淡黄緑色で,3cm前後の長卵形の袋が放射状に集まり,花のような形になる。その形をネコの掌にみたてて,ネコアシと呼ばれる。7~8月に袋の先端が開いて翅のある成虫が多数現れ,二次寄主のチヂミザサに向かって飛び去る。開口した虫癭を軽くたたくと微小な幼虫が落下するが,これを腕など皮膚の柔らかいところにのせると,チクチク刺すのが感じられる。これはこの幼虫が外敵を攻撃する性質をもつからである。このような性質はこのほか若干の種類で知られ,攻撃の方法はこの種のように口針で刺すものと,ササコフキアブラムシや台湾のアレキサンダーツノアブラムシのように,強大な前肢で敵にしがみつき,同時に頭部の巨大な角で刺すものとがある。攻撃行動をとる幼虫は形態的に特殊化していることが多く,そのような攻撃型の幼虫は成長せず,もっぱら兵隊の役割を分担する。このような機能の分化は,昆虫ではほかにアリや一部のハチおよびシロアリに見られるにすぎない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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