虫癭(読み)チュウエイ(その他表記)gall

翻訳|gall

デジタル大辞泉 「虫癭」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐えい【虫×癭】

昆虫ダニ植物産卵・寄生して分泌物を出した結果、植物組織が異常発育してできるこぶ状のもの。五倍子ふし没食子もっしょくしなど有用なものもある。むしこぶ。

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精選版 日本国語大辞典 「虫癭」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐えい【虫癭】

  1. 〘 名詞 〙 植物体に昆虫が産卵寄生した結果、寄生物の出す分泌物質などで異常な発育を起こした部分。一般に寄生する昆虫の種類により宿主も異なり、できる形も異なる。クリタマバチによるものは害も大きく有名虫こぶ
    1. [初出の実例]「幼虫は植物に寄生して虫癭を生ず」(出典:日本昆虫学(1898)〈松村松年〉昆虫の分類)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「虫癭」の意味・わかりやすい解説

虫癭
ちゅうえい
gall

虫こぶともいう。植物の根,茎,葉の各部の組織内に,昆虫などが産卵したり寄生したために,その組織が異常に発育して瘤状になる現象。茎葉ではハチ類,ハエ類,アブラムシなどによる場合が多く,根や地下茎では線虫 (ネマトーダ) などによる場合が多い。虫 癭の組織に生じる著しいタンニンは,五倍子 (ふし) ,没食子として古来鞣皮剤,媒染剤に利用されている。また虫 癭が果実に生じる場合は不稔が起り,クリタマバチによるクリの被害などが知られている。虫 癭の形は,ときに単に瘤状にふくらむばかりでなく,コナラカシでは葉が変形して果実のような虫 癭となり,ヤナギでは松ぼっくり状の虫 癭が生じる。

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改訂新版 世界大百科事典 「虫癭」の意味・わかりやすい解説

虫癭 (ちゅうえい)

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世界大百科事典(旧版)内の虫癭の言及

【エゴノネコアシアブラムシ】より

…半翅目アブラムシ科の昆虫。エゴノキに寄生して虫癭(ちゆうえい)をつくるアブラムシの1種。日本,中国から東南アジアに分布する。…

【虫こぶ】より

…動物が植物に寄生,共生し産卵した結果,植物体の一部が,こぶ状に発育したもの。虫癭(ちゆうえい)ともいう。虫こぶを作る動物は99%が昆虫で,ほかにダニ,クモ,糸状虫がある。…

※「虫癭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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