エチオピア文学(読み)エチオピアぶんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エチオピア文学」の意味・わかりやすい解説

エチオピア文学
エチオピアぶんがく

主として古典エチオピア語 (ゲエズ語 ) で書かれた各種の著作をさすが,そのほかに近代エチオピア語であるアムハラ語ユダヤ教徒の用いるファラシャ語の作品も含まれる。前者は第1期 (4~7世紀) と第2期 (13世紀末~19世紀) に分けられる。第1期の初め,アクスム朝時代には若干の刻文があるほか,かなり多くのユダヤ,キリスト教関係文書の翻訳があり,キリスト教研究の基本文献をなす。第2期は,(1) サロモ王時代 (1270頃) とその続き,(2) ザラ・ヤコブ王 (1434~68) から 1520年頃まで,(3) それ以後,に区分される。今日残されている多数の写本を内容的に分類すると,キリスト教関係 (聖書翻訳,聖書注解,典礼,式文,祈祷書,賛美歌,神学,教会法,聖伝) が圧倒的多数を占めており,代表作に『フェッカーレー・イーヤスース』 (イエスについての解明) ,『ウェッダーセー・マリアム』 (聖母賛歌) ,『ゲブラ・ヘマーマート』 (朗読用聖書集) などがある。歴史物語には『ケブラ・ナガシュト』 (王たちの栄光) ,法典集には『フェタ・ナガシュト』 (王たちの法制) がある。物語では『バアラムとヨサファト』や『アレクサンダー物語』のような翻訳が多い。 20世紀にはアムハラ語による現代文学が生れ,第2次世界大戦後になるとハワリアットの『アラヤ』 (1948) ,アラマヤフの『不正な判事』 (74) など社会性をもつ作品が数多く登場する。

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