改訂新版 世界大百科事典 「エリア航法」の意味・わかりやすい解説
エリア航法 (エリアこうほう)
area navigation
増加する航空交通,とくに航行援助無線施設およびターミナル付近の混雑を緩和し,空域を有効に利用する目的で開発されている航法システム。RNAVと略称される。従来の航行援助無線施設間を結んで設定された航空路にこだわらず,地図上で,ウェーポイントと呼ばれる特定または任意の点を定め,原則としてウェーポイント間を結んだ経路を飛行する。ウェーポイントは緯度・経度座標またはVOR局からの角度と距離測定装置(DME)からの距離で定められ,機上のコンピューターがその情報に基づいて所定のウェーポイント間の飛行経路を算出するもので,慣性航法装置を用いる場合,ウェーポイント間の飛行経路のほか,これと平行な経路を設定する機能を付加することもできる。ウェーポイントの設定に高度の要素を加えて三次元空間の飛行経路を算出する三次元エリア航法も開発されており,主としてターミナル空域の標準出発方式および標準到着方式などに応用されている。また三次元のウェーポイントに時間の要素を加え,各ウェーポイントの通過時刻まで設定する四次元エリア航法は,将来のふくそうする空港の到着機の間隔調整に重要な役割をもつと考えられている。
執筆者:長野 英麿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報