distance measuring equipmentの略称で、距離測定装置のこと。電波伝播(でんぱ)の定速性を利用し、航空機と地上局間の電波の往復時間からその間の距離を連続して自動的に算出する装置。機上のインテロゲーター(自動質問装置)と地上局のトランスポンダー(自動応答装置)から構成されている。インテロゲーターから特定の地上局を指定して1000メガヘルツ帯のパルス電波が発信されると、地上局のトランスポンダーは受信と同時に質問波と63メガヘルツ離れた周波数による応答電波を発信する。機上の装置ではこれを受信し、コンピュータにより二つの電波の時間差を測定し、この時間差を距離に換算して操縦席前の指示器にデジタル表示する。
DMEは700キロメートルくらいの範囲内で航空機から地上局設置点までの直線空間距離を測定するもので、地上局の方位を知ることはできない。そこで通常、VOR(超短波全方向式無線標識施設)と組み合わせて方位と距離を同時に測定し航空機の位置を求める。これをVOR/DME方式といい、1960年に国際民間航空機関(ICAO(イカオ))の国際標準方式として採用された。DMEは比較的新しい装置であるが、近距離航法施設としては非常に有効であるため、世界的に空港や航路上の要所に多数の地上局が設置されている。
[青木享起・仲村宸一郎]
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…航空機から特定の地上局までの距離情報をパイロットに知らせる装置。通常distance measuring equipmentの頭文字をとってDMEと呼ばれる。一種の二次レーダーで,機上からの質問波を受けた地上局が自動的に応答波を発信,それが機上に達するまでの往復時間を計り,これを距離に換算して機上の表示器にディジタル表示する。…
…第2次大戦後は機上で自動的に電波のくる方向を知ることのできる自動方向探知機automatic direction finder(略称ADF)が開発され,パイロットは容易に地上のNDB局からの関係方位を知ることができるようになった。しかし,NDBは空電の影響を受けやすく,また悪天候の場合には指度が不正確になるという欠点があり,さらに性能のよいVORが開発されるとともに,現在では,この360度全方位を識別できるVORと距離を自動的に計測できる距離測定装置(DME)が航空路の主要施設となっている。また悪天候や夜間の着陸誘導装置についても,第2次大戦中にアメリカでGCAが開発されたのをはじめ,より確実な計器着陸装置(ILS)の実用化など電波の利用が進み,さらに航空交通管制システムにも種々のレーダーが導入され,航空保安施設の中で電波を利用した施設の比重は増大している。…
…有効到達距離は200~400km程度。VOR局にはDME(距離測定装置)の併設されているところが多く,方位と距離を同時に測定して機位を知りうるようになっている。無線標識ではかつてNDB(無指向性無線標識)が主力であったが,VORのほうが精密で空電による妨害が少ないので,現在ではほとんどNDBにとって代わった。…
※「DME」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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