改訂新版 世界大百科事典 「エレミヤ哀歌」の意味・わかりやすい解説
エレミヤ哀歌 (エレミヤあいか)
Lamentations of Jeremiah
旧約聖書中の一書。ギリシア語訳(《七十人訳聖書》)以来,《エレミヤ哀歌》と呼ばれ,《エレミヤ書》の後に置かれるようになったが,ヘブライ語聖書では,ただ《哀歌》と呼ばれ,旧約聖書の第3部に置かれている。《哀歌》がエレミヤと結びつけられたのは,《歴代志》下35章25節の記事によるものと思われる。しかしその内容は,前586年におけるエルサレム陥落の直後に歌われた〈嘆きの歌〉が中心であり,作者は不明である。全体5章はそれぞれ独立の歌で,最初の4章は,各行の最初の文字がアルファベットの文字を順に使用する〈いろは歌〉の形式を取っている。第3章は,エルサレムの政治的指導者が歌った〈個人の嘆きの歌〉となっている。
執筆者:木田 献一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報