哀歌(読み)アイカ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

哀歌
あいか
Lamentation

『旧約聖書』の一書。ギリシア語に訳されたときから、本書は「エレミヤの哀歌」とよばれ、預言者エレミヤの作とされてきたが、本来は五つの嘆きの歌を集めたもので、彼の作ではない。歌はいずれも、紀元前587年のエルサレム陥落とユダ王国の滅亡を歌ったものである。第2の歌(2章)と第4の歌(4章)は描写も具体的で、王国滅亡直後に書かれたものであろう。第3の歌(3章)だけは一人称単数で、王のような指導者が自ら詠んだ形式をとっている。また第5の歌(5章)以外は、それぞれ「いろは歌」の形式になっている。本書は苦痛に満ちた民族の受難を語り、救いを求める神への祈りを記し、亡国後のユダヤ人の気持ちを示す貴重な文献である。

[木田献一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

あい‐か【哀歌】

[1] 〘名〙 悲しい心情を表わした詩歌。悲歌。エレジー。
※御伽草子・李娃物語(室町時代小説集所収)(室町末)「今は落魄と作て、舞台に哀歌を歌ふ」 〔荘子‐天地〕
[2] (原題Lamentationes) 「旧約聖書」中の一編。五章から成る。預言者エレミヤがエルサレムの荒廃を嘆いて歌ったものと伝えられるが、別人の作とされている。エレミヤ哀歌。

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