エーラト
Elat
イスラエルの港湾都市。紅海北端のアカバ湾奥に面し,イスラエル最南端に位置している。この地点でイスラエルはわずか 12kmの海岸線しか領有せず,西はエジプト,東はヨルダンの国境にはさまれており,ヨルダンのアカバ港と国境ごしに対峙している。年降水量 100mm以下の乾燥地域に属し,周辺は砂漠で,1年の大半は雨がなく暑さがきびしい。ヨルダン地溝の底に位置し,西はエジプト領のシナイ半島の山地が迫り,東はヨルダン領の標高 1000mをこえるモアブ山地がそびえ立つ。前 10世紀頃,古代ヘブライ王国の版図がこの地点にまで達し,その後身であるユダ王国のアマジヤ王が前8世紀の初頭にこの近辺 (現在ヨルダン領内) にエツィオン・ゲベルの町を建てた。この町は前8世紀末に征服されるが,7世紀以後再びユダヤ人の町として復活,1116年に十字軍に滅ぼされた。現在の町は 1948~49年のパレスチナ戦争でイスラエル側がこの地を占領して以後,エツィオン・ゲベルの跡近くに新設したもので,56年のスエズ動乱以後アカバ湾にイスラエル船舶が航行できるようになって以来,イスラエルで唯一のアジアへの海の出口として急速に拡大した。現在では,高速道路と空路でイスラエル各地と連絡する重要な石油輸入港で,石油パイプラインが地中海側のアシュケロン,ハイファに延びている。風景が美しいので,観光地としても発達している。人口2万 5600 (1990推計) 。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のエーラトの言及
【エイラト】より
…アカバ湾に面したイスラエル最南端の港湾都市で,紅海を通ずるイスラエルとアジア・アフリカとの貿易の拠点。ヘブライ語でエーラトElat。人口2万(1982)。…
※「エーラト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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