ハイファ(読み)はいふぁ(英語表記)Haifa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイファ」の意味・わかりやすい解説

ハイファ
Haifa

イスラエル北西部,地中海に臨む大港湾都市。ハイファ地方の行政中心都市でもあり,カルメル山麓からアコー湾の南端までに位置する。タルムードのなかに最初に記述され,ビザンチン時代にはシカミノスと呼ばれた。十字軍遠征当時は重要な軍事基地であったが,1191年エジプトのサラディンに破壊された。1799年ナポレオンに,1839年エジプトのイブラヒム・パシャに占領された。1948年のイスラエル建国のときには,アラブ軍との間の激しい戦場となった。イスラエル屈指の主要港で,国の輸出入の大半を扱い,海軍基地でもある。市街は狭い海岸平野から山腹斜面,さらにカルメル山上にかけて広がり,波止場の周辺には商業地区,低地には行政諸官庁,学校,博物館などがある。高地には新しい住宅街,カルメル山の斜面には金色のドームをもつギリシア聖堂,ペルシア風庭園などがある。バハーイ教の本部をはじめ教団関連施設も多く,2008年「ハイファおよび西ガリラヤ地方(→アコー)のバハーイ教聖地群」として世界遺産の文化遺産に登録された。おもな工業は,製鋼食品加工造船化学繊維セメントなどであるが,エーラトからパイプラインで送られてくる石油精製も行なわれている。人口 26万7000 (2006推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイファ」の意味・わかりやすい解説

ハイファ
はいふぁ
Haifa

パレスチナ北部の港湾都市。地中海に突出したカルメル山地北端に位置する。人口は25万2300(1995)、28万2364(2018推計)で、イスラエル支配地域ではエルサレムテル・アビブに次いで第3位である。20世紀になってユダヤ人入植者が急増し、ダマスカスベイルートスエズへの鉄道が建設され、イラクキルクーク油田とパイプラインで結ばれてから急速に発展した。イスラエル建国後は鉄道やパイプラインは閉鎖されたが、現在は柑橘(かんきつ)類、セメント、せっけんなどの輸出港として、また石油、鉄鋼、機械、化学などの重化学工業基地として発展している。ほかに、工科大学、バハーイ教本部、海軍基地などがある。

[高橋和夫]

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