オウトウハダニ(読み)おうとうはだに(その他表記)hawthorn spider mite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オウトウハダニ」の意味・わかりやすい解説

オウトウハダニ
おうとうはだに / 桜桃葉蜱
hawthorn spider mite
[学] Tetranychus viennensis

節足動物門クモ形綱ダニ目ハダニ科に属するダニ。果樹害虫として有名なダニで、体の前部に位置する周気管peritremeの末端はこぶし状に膨れている。体長は雌0.5ミリメートル内外、雄0.4ミリメートル内外。卵は橙黄(とうこう)色。ヨーロッパ、アジア(日本、朝鮮南部)に分布し、サンザシリンゴ、ナシ、オウトウ、ボケなどのバラ科植物およびミズナラなど落葉性広葉樹に寄生する。年間の世代数は北日本では4~6回ぐらい。葉の裏面葉脈の間に糸を張って寄生している。被害部は退色し斑紋(はんもん)となり、しだいに葉全体が褐色に変わる。果実にも寄生する。夏型雌は赤色。休眠雌は鮮紅色で幹や枝の樹皮下や割れ目に集合して越冬する。

[森 樊須]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のオウトウハダニの言及

【ハダニ】より

…日本からは約60種が知られるが,次のものはとくに重要害虫である(かっこ内はおもな寄主植物)。ミカンハダニPanonychus citri(かんきつ類),リンゴハダニP.ulmi(リンゴ),スギノハダニOligonychus hondoensis(スギ),トドマツノハダニO.ununguis(クロマツ,アカマツ,ヒノキ,モミ,トドマツ,エゾマツ,クリ),オウトウハダニTetranychus viennensis(リンゴ,ナシ,オウトウ,サクラ,ウメ,モモ),カンザワハダニT.kanzawai(寄主植物多数,チャの害虫として著名),ニセナミハダニT.cinnabarinus(寄主植物多数),ナミハダニT.urticae(イラスト)(寄主植物多数)。ハダニの有力な天敵の一つとしてカブリダニがある。…

※「オウトウハダニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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