オオマリコケムシ(読み)おおまりこけむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオマリコケムシ」の意味・わかりやすい解説

オオマリコケムシ
おおまりこけむし / 大毬苔虫
[学] Pectinatella magnifica

触手動物門苔虫(こけむし)綱掩喉(えんこう)目ヒメテンコケムシ科に属する淡水産小動物。かつて北アメリカ東部と中央ヨーロッパにのみ産したが、1972年(昭和47)に山梨県の河口湖で発見されて以来、本州の中部地方のいくつかの湖で生息が確認された。この分布は、人間や船や渡り鳥などが休芽(きゅうが)を運んだものと考えられている。寒天質を多量に分泌した群体が多数集まって大きな球状の群体塊をつくる。この塊は水底の岩や枯れ木に付着しているが、ときには水底を離れ、巨大なクラゲのように水面へ浮上する。浮上群体塊は長径2メートルを超えることもある。個虫は口辺部に鮮紅色の色素をもち、触手数60~84本。休芽は長さ約1ミリメートルの角形で、11~22本の鉤(かぎ)状の棘(とげ)がある。近縁種カンテンコケムシP. gelatinosaの群体塊は長径数センチメートルどまりである。

[馬渡峻輔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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