改訂新版 世界大百科事典 「オガサワラタマムシ」の意味・わかりやすい解説
オガサワラタマムシ
Chrysochroa holstii
甲虫目タマムシ科の昆虫。からだは緑色で,背面は青色または紺色の金属光沢を放つ。上翅には縦の隆起条があり,翅端は赤色を帯びる。まれに胸部背面にかすかな赤条をもつ個体がある。雄は複眼が大きく,からだが細い。体長25~32mm。小笠原諸島の特産種で,父島,母島には少なからず生息し,国の天然記念物として保護されている。成虫は6~8月に出現し,日中は活発に飛翔(ひしよう)する。ムニンエノキの枯木に産卵。孵化(ふか)した幼虫は枯木に穿孔(せんこう)する。幼虫は白色で細長く,前胸節は著しく幅が広い。枯木中で蛹化(ようか),成虫となって出現する。小笠原諸島の昆虫には特産種が多く,その数は全種数の約1/3を占める。タマムシ科ではオガサワラタマムシのほか,ツマベニタマムシ,ツヤマルタマムシ,オガサワラムツボシタマムシ,オガサワラナガタマムシ,シラフオガサワラナガタマムシなどが特産種として知られている。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報