化学辞典 第2版 「オクタント則」の解説
オクタント則
オクタントソク
octant rule
円二色性スペクトルにおけるカルボニル基のn→ π* 遷移のコットン効果を利用して,キラル炭素原子をもつ飽和ケトンやアルデヒドの絶対配置を決定するための経験則.C. Djerassiにより1961年に提案された.カルボニル基のまわりの空間を八つに分割し(これをオクタントとよぶ),カルボニル基の遷移に影響を与える置換基が+の領域にあれば正のコットン効果が,-の領域にあれば負のコットン効果が観測される.とくに,いす形配座に固定されたシクロヘキサノン誘導体に有効であり,その空間分割と各領域の符号を図に示す.たとえば,(-)-3-メチルシクロヘキサノンは負のコットン効果を示し,メチル基がエクアトリアル位にあるとすれば絶対配置はSとなる.ステロイド骨格をもつ天然物の立体化学決定にも応用できる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報