絶対配置(読み)ゼッタイハイチ(その他表記)absolute configuration

化学辞典 第2版 「絶対配置」の解説

絶対配置
ゼッタイハイチ
absolute configuration

原子立体配置一種.たとえば光学活性を示す不斉炭素に結合する配位子の配置の異なる仕方をいう.互いに鏡像関係にある鏡像異性体を分割することは可能であったが,異性体の立体化学的な絶対配位を解明することは,X線結晶学が発展するまでは不可能であった.図(a)にD-(+)-酒石酸(光を時計まわりに回転させる)と,図(b)にL-(-)-酒石酸(光を反時計まわりに回転させる)の異性体を示す.通常のX線法では,これらの異性体の強度図形はほとんど同じであるので区別することは困難であった.最近の高感度のX線回折計を用いると,両方の異性体の重畳波は散乱強度と位相が異なることを明確に示すので,両者を見分けることが可能になった.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絶対配置」の意味・わかりやすい解説

絶対配置
ぜったいはいち
absolute configuration

原子の立体配置の一種。光学活性な立体配置の取扱いにおいて,最初は分子内の原子または原子団の真の配置関係を知ることができなかった。したがって,D系列またはL系列に属する化合物と光学活性との関係が,E.フィッシャーによって,ある約束のもとに決められた。 1950年頃 J.M.ベイブゥートらは右旋性酒石酸ナトリウムルビジウム塩についてジルコニウム対陰極をそなえたX線を用いて結晶解析を行なった結果,原子配置の真の構造を解明し,その結果が従来の約束によって定められていた立体配置 (すなわち相対配置) と一致していることを見出した。また,W.クーンはある種のアルコールについて,J.G.カークウッドは1,2-ジクロロプロパンについて,旋光性を計算することによって,その立体配置を導いている。これも絶対配置を定めた例であり,この場合も従来の相対配置と一致している。 (→R配置 )

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