オスマン・トルコ語(読み)おすまんとるこご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オスマン・トルコ語」の意味・わかりやすい解説

オスマン・トルコ語
おすまんとるこご

トルコ共和国ではオスマンル・チュルクチェシとよばれる。現代トルコ諸語のうち、トルコ共和国のトルコ語をオスマン・トルコ語とよぶことがあるが適当ではない。オスマン・トルコ語あるいはオスマン語とは、13世紀以後の古い言語、主としてオスマン朝下のトルコ人たちがアラビア・ペルシア文字で書き残した多くの文献にみえる文字言語のことである。これらはトルコ語族のうち、南方語派を形づくる現代アゼルバイジャン語や現代トルコ語の源流をなすものである。13~15世紀を古オスマン語期、16~19世紀を古典オスマン語期、19~20世紀(トルコ共和国成立まで)を新オスマン語期と時代分けすることができる。

[竹内和夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オスマン・トルコ語」の意味・わかりやすい解説

オスマン・トルコ語
オスマン・トルコご
Ottoman Turkish language

中期チュルク諸語の一つで,現代トルコ語の前身をなす言語。 11世紀のセルジューク時代の古アナトリア語の後裔。オスマン時代の 14世紀頃に発達した言語で,普通その文字言語をさす。固有のトルコ語のなかに,アラビア語ペルシア語などからの借用語が多量に入り込んでできあがったものであるが,少数の者にしか使われなかった。 14世紀のオスマン・トルコ語では「唇の母音調和」がまだみられないことが注目される。別に,現代トルコ語をさしていうこともあり,オスマンリ語ともいう。

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