オスマン主義(読み)オスマンしゅぎ(その他表記)Osmanlıcılık
Osmanlılık[トルコ]

改訂新版 世界大百科事典 「オスマン主義」の意味・わかりやすい解説

オスマン主義 (オスマンしゅぎ)
Osmanlıcılık
Osmanlılık[トルコ]

オスマン帝国の住民すべてに,その宗教および民族の違いにかかわらず,同じ権利を与え,それによって帝国の政治的一体性を守ろうとする立場。オスマン帝国は,本来カリフの存在によってイスラム教徒を統合すべき〈イスラム国家〉であったが,キリスト教徒少数民族の権利擁護を口実に干渉してくるヨーロッパ列強矛先をかわすため,イスラム教徒とキリスト教徒との二元性を克服し,それらの平等を基礎とした〈近代国家〉としての体裁を整える必要に迫られるようになっていった。そこで,タンジマートの改革以後,国家統治の根本に据えられることになったのがこの原理である。〈平等〉の実現にもかかわらず,非トルコ系住民の民族運動,および列強の進出は弱まることがなく,また,トルコ人の間にもナショナリズムが生まれるが,オスマン主義が最終的に否定されるには,第1次世界大戦敗北による帝国の崩壊を待たねばならなかった。
トゥラン主義
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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