改訂新版 世界大百科事典 「オドントグロッスム」の意味・わかりやすい解説
オドントグロッスム
Odontoglossum
南アメリカのアンデス山脈熱帯域原産の着生ランで,約200種が知られている。熱帯山地原産のために,夏は冷涼,冬は温暖な条件を好み,日本では高地や北地でしかうまく栽培できないものが多いが,花は美しい。日本へは明治末ごろから大正にかけて渡来した。日本でみられるのはオドントグロッスム・グランデO.grande Lindl.,オドントグロッスム・ロッシイO.rossii Lindl.,オドントグロッスム・プルケルムO.pulchellum Batem.などがある。偽球茎は卵形で,頂部に2~3枚の広葉をつけ,花茎は茎より直立からやや下垂ぎみに伸びるものまであり,総状から円錐状に花をつける。花径は3~12cmと大きさはまちまちである。日本では春から秋にかけて開花する種が多く,開花期間が長いため4~6週間観賞できる。属間雑種もオンシジウム属との間にオドントシジウムOdontocidium,ミルトニア属Miltoniaとの間にはオドントニアOdontoniaが作出されている。越冬には12~15℃以上必要で,夏は夜温度の下がる所を好む。薄日を好むため,夏の戸外栽培は寒冷紗の二重越し下で栽培する。繁殖は株分けにより,2~3年おきに春に行う。
執筆者:江尻 光一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報