黄色でむらがって咲く花がよく切花にされる着生ラン。西インド諸島から南アメリカ熱帯域に約500種が分布し,変化に富む。日本で多くみかけるのはオンシジウム・フレクスオスムO.flexuosum Lodd.,オンシジウム・ケイロフォルムO.cheirophorum Reichb.f.,オンシジウム・スファケラトゥムO.sphacelatum Lindl.などである。渡来は明治末ごろ。多くはやや扁平な球状の偽球茎をもち,それから葉を2~5枚ほど出す。葉は革質の固いものから草質のものまである。花茎は長さ10cmから1mをこえるものまであるが,茎の基部から発生し,多くは10~50輪くらいの大きな唇弁を有する黄色の花をつけ,美しい。しかし1花ずつつける種もある。種間交配により園芸種が多数育成されているほか,ミルトニア属Miltonia,ブラッシア属Brassia,オドントグロッスム属Odontoglossumなどとの間に,Miltonidium,Brassidium,Odontocidiumなどの属間雑種が作出されている。越冬は10℃以上必要で,春から秋までの生長期は戸外の寒冷紗下におき,肥培する。春に株分けをして繁殖させる。
執筆者:江尻 光一
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ラン科(APG分類:ラン科)の1属名。中央アメリカから南アメリカの熱帯原産の着生ランで、多くの種類がある。原種では黄金(こがね)色のアンプラセウムや、スプレンディダムが市場に出回るくらいであるが、園芸種は毎年新品種が登場し、近年、ノナ、スターウォーズ、フロリダゴールド、マカリー、サルタマイヤーなどがよくつくられている。いずれも黄色の大輪で、切り花にも鉢花にもなるのが最近の園芸種の特徴となっている。園芸種は多数あり、ほぼ一年中どれかが開花しているが、春咲きがやや少ない。生育期は春から秋までで、この間に肥培をし日光に当て、水を多く与えると花芽ができやすい。植え付け、株分けは春がよく、ミズゴケで植える。10℃あれば冬を越せるが、冬に開花させるには15℃は必要である。
[江尻光一 2019年5月21日]
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