オンシジウム(読み)おんしじうむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オンシジウム」の意味・わかりやすい解説

オンシジウム
おんしじうむ
[学] Oncidium

ラン科(APG分類:ラン科)の1属名。中央アメリカから南アメリカの熱帯原産の着生ランで、多くの種類がある。原種では黄金(こがね)色のアンプラセウムや、スプレンディダムが市場に出回るくらいであるが、園芸種は毎年新品種が登場し、近年ノナスターウォーズ、フロリダゴールド、マカリー、サルタマイヤーなどがよくつくられている。いずれも黄色の大輪で、切り花にも鉢花にもなるのが最近の園芸種の特徴となっている。園芸種は多数あり、ほぼ一年中どれかが開花しているが、春咲きがやや少ない。生育期は春から秋までで、この間に肥培をし日光に当て、水を多く与えると花芽ができやすい。植え付け、株分けは春がよく、ミズゴケで植える。10℃あれば冬を越せるが、冬に開花させるには15℃は必要である。

江尻光一 2019年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オンシジウム」の意味・わかりやすい解説

オンシジウム
Oncidium; dancing lady orchid

ラン科オンシジウム属の総称。熱帯・亜熱帯アメリカに約 400種が分布する多年草。普通,ふくらんだ茎のような偽鱗茎から剣状または棒状の葉を頂生。偽鱗茎の基部から花茎を伸ばし,総状または円錐状の花序をつける。花はダンシング・レディ・オーキッド (踊る淑女のラン) の英名そのままの愛らしい形をしている。オンシジウムの名は,唇弁の基部にいぼ状の突起があるため,「瘤」を意味するギリシア語 ogkosにちなむ。鉢植えや切り花にしやすく,多くの園芸品種がつくられている。栽培種では黄花が一般的であるが,桃色,白色,赤紫色,褐色,緑色など変化に富み,赤褐色の斑紋 (はんもん) の入る種類が多い。春から夏の生育期は十分水を与えて日に当て,冬は水を控え目にして室内の窓辺などで管理。 10℃以上あれば越冬する。株分けや植付けは春に行う。

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