改訂新版 世界大百科事典 「ミルトニア」の意味・わかりやすい解説
ミルトニア
pansy orchid
Miltonia
温室で栽培される洋ラン。南米コロンビアからコスタリカ,それにブラジルなどに約20種があり,多くは着生する。バルブは扁平な長卵形。葉はバルブの頂部に8~10枚前後つく。長さ約15cmの花茎に,平開したパンジーのような花を3~5輪つける。ミルトニアは大きく分けると2群になる。一つはコロンビア,エクアドルなどの高地原産のミルトニア・ベキシラリアM.vexillaria Nichols.とそれに近縁な群で,もう一つはブラジル南部の低地にあるミルトニア・スペクタビリスM.spectabilis Lindl.とそれに近縁な群である。前者は花が大型で華麗,桃色を主とした花色の変化がすぐれているため,現在多く栽培され,鉢花として市販されている。
ミルトニア属Miltoniaはオンシジウム属Oncidium,ブラッシア属Brassia,オドントグロッスム属Odontoglossumなどが近縁で,属間交配が行われており,ミルトニジウムMiltonidium,ミルタシアMiltassia,オドントニアOdontonia等の人工交雑属がある。夏はうす陽にして強光には当てず,涼しくした方が良い。越冬は15℃必要で,株分けは秋に行う。
執筆者:江尻 光一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報