オブラヘ(その他表記)obraje

改訂新版 世界大百科事典 「オブラヘ」の意味・わかりやすい解説

オブラヘ
obraje

スペイン語で,語義は〈仕事場〉。とくにスペインの新大陸植民地の織物工場を指す。原住民共同体は織物を自給し,スペイン人上層はもっぱら輸入布地を用いたが,両者間隙,すなわち下層のスペイン人を販路として,16世紀半ばにおもに粗製毛織物の生産がはじまった。本国の植民地製造業抑止策はさして有効でなく,また本国製造業の生産能力も低かったため黙許され,その数は17世紀初頭のメキシコ市で49を数えた。それぞれ労働者数は数十から多くて百数十。当初,囚人黒人奴隷レパルティミエント賦役を用いたが,やがて前貸しを伴う長期契約の賃金労働を用いるようになり,後にアシエンダが採用する労働制度の先駆をなした。労働条件は当時すでに悪名高く,労働者は鉄の扉の内で常時監視の下に働かされ,鞭打ちが多用され,生活条件も劣悪だったため,1601年王権はレパルティミエントの対象からオブラヘを除外した。
レパルティミエント
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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