日本大百科全書(ニッポニカ) 「オモ人骨」の意味・わかりやすい解説
オモ人骨
おもじんこつ
Omo specimens
エチオピアの南部、オモ川上流のオモ峡谷には、猿人などの化石出土地があり、それらの化石骨の総称。1967、68年にC・ハウエルとC・アランブールの率いるアメリカ、フランス、ケニアの調査団がオモ峡谷を調査し、約40点の標本を発見した。大部分は歯で、顎骨(がくこつ)破片は2点であった。そのシュングラ累層には約350万~100万年の比較的連続した堆積(たいせき)層があり、アフリカの哺乳(ほにゅう)動物進化の一つの基準となった。猿人から初期ホモ属への進化様式が、これらの堆積層から明らかになった。270万年前からエチオピクス猿人とおそらくはアフリカヌス猿人が同所的に存在し、それぞれ230万~240万年前ごろ、ボイセイ猿人および初期ホモ属へ移行するようにみえる。なお、近くからはアファール猿人も出土している。この遺跡の発掘が引き金となり、すぐ南部のトゥルカナ化石人骨群の調査が始まり、さらには東アフリカの大地溝帯各地の探索がなされるようになった。
[香原志勢]