オヨギゴカイ(その他表記)Tomopteris pacifica

改訂新版 世界大百科事典 「オヨギゴカイ」の意味・わかりやすい解説

オヨギゴカイ
Tomopteris pacifica

多毛綱オヨギゴカイ科の環形動物。一生の間,浮遊生活をし,本州オホーツク海,北アメリカ太平洋岸に分布する。体長3~4cm,体幅2~3mmで無色透明。体の前方約2/3は幅が広く,両側に20~23対のいぼ足があり,それに続く後部は細長くのび,11個の長い環節からなっている。頭部には1対の感触手と1対の黒い眼点がある。頭部の後方に2対の感触糸があり,第2感触糸は体の全長のほぼ2/3に達する。いぼ足の先端は背枝と腹枝の二つの枝に分かれ,おのおのに薄い膜がついている。背腹両枝ともに生殖腺があり,また腹枝には鰭腺(きせん)がある。近似種のオナシオヨギゴカイT.septentrionalisは細長い後部をもたず,生殖腺は背枝のみに存在する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オヨギゴカイ」の意味・わかりやすい解説

オヨギゴカイ
およぎごかい / 泳沙蚕

環形動物門多毛綱遊在目オヨギゴカイ科Tomopteridaeの海産動物の総称、およびそのなかの1種名。多毛類の大部分の種類は、幼生時代の一時期を海中で浮遊生活をし、その後に底生生活に移るが、この科の種類は一生の間浮遊生活をする。

 種名オヨギゴカイTomopteris (Johnstonella) pacificaは、本州、オホーツク海、北アメリカの太平洋岸に分布する。体長30~40ミリメートル、体幅2~3ミリメートルで、体色は無色透明。体の前部の約3分の2は幅が広くて20~23対のいぼ足があるが、それに続く後部は細長くて11個の環節がある。頭部にある2対の感触手のうち第2感触手は長く、ほぼ体の3分の2に達する。いぼ足の先端は二つの枝に分かれ、おのおのに薄い膜がひれのようについているので泳ぐのに便利である。日本には近似種のオナシオヨギゴカイT. (Tomopteris) septentrionalisが生息し各地の沿岸に分布している。

[今島 実]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オヨギゴカイ」の意味・わかりやすい解説

オヨギゴカイ
Tomopteris pacifica

環形動物門多毛綱遊在目オヨギゴカイ科。体長3~4cm,体幅2~3mm。体は無色透明で,体の前部に 20~23の疣足 (いぼあし) をもつ。副感触鬚は体長の3分の2ほどの長さがある。浮遊性で,オホーツク海,北太平洋に分布している。

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