日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルトミクソウイルス」の意味・わかりやすい解説
オルトミクソウイルス
おるとみくそういるす
orthomyxovirus
オルトミクソウイルス科のウイルスをいう。以前にはミクソウイルスmyxovirusとよばれた。RNA(リボ核酸)1本鎖のウイルス。円筒形のヌクレオカプシド(カプシドに直接取り込まれているウイルスの核酸)は6~9ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)、エンベロープ(外被)に包まれ、ビリオン(細胞外で感染性を有するウイルス粒子)の直径は80~120ナノメートル。形は球形ないしフィラメント状とさまざまである。多くのものはエンベロープに突起がある。核酸は8個の分節からできており、タンパク質合成の鋳型となることはない。RNAポリメラーゼ(RNA鋳型からのRNA形成を触媒する酵素)をもち、エーテルに感受性がある。この科にはインフルエンザウイルスinfluenzavirusが唯一のヒトに対する病原ウイルスであり、免疫学的にA、B、Cの3型に類別される。インフルエンザウイルスには血清学的な変異があり、インフルエンザの新流行をおこすことがあるという。
[曽根田正己]