デジタル大辞泉
「鋳型」の意味・読み・例文・類語
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い‐がた【鋳型】
- 〘 名詞 〙 ( 古くは「いかた」 )
- ① 鋳物を鋳造するのに用いる型。多く砂を材料として鋳るべき凹形の型を作り、金属を溶かして注ぎ入れて鋳る。〔十巻本和名抄(934頃)〕
- [初出の実例]「行房朝臣清書していかたにうつさせんとせしに」(出典:徒然草(1331頃)二三八)
- ② 活字の体を鋳造するために鋼鉄などで作った型。活字の面を作る母型と共に鋳込んで活字を作る。母型。
- ③ 物事を一定の型にあてはめてみようとする枠づけ。また、その枠。模型。
- [初出の実例]「此の一法は、本といかた、かたちが無いに依て、曲にはまがり、斜にはなのめに、夫れ夫れになったぞ」(出典:三百則抄(1662)一)
- 「『人文発育』といふ摸型(イガタ)をつくりて」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)
- ④ しきたり。慣例。
- [初出の実例]「所の仕来(しきたり)といふ詞のかはりに〈略〉大隈薩摩にていかたと云」(出典:物類称呼(1775)五)
- ⑤ 遺伝の際、転写のもとになるもの。DNAがほどけてできる一本鎖の塩基配列。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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鋳型
いがた
mold
mould
鋳物をつくるために溶融金属を流し込む(鋳込む)容器。美術工芸品鋳物の鋳型は、芸術家が一つずつ手作りでつくりあげるが、同一寸法の鋳物製品を大量生産する鋳物工業の鋳型は、自動化した造型機械により能率よく連続的につくられている。特殊な場合を除いて、鋳型は耐火性のよい珪砂(けいさ)に粘結剤として粘土と水を配合し、よく混練してこれをつき固めてつくる。
例としてフランジ付きの管をつくるための鋳型の作り方を述べる。まず製品の模型を用意する。木製あるいは金属製であり、上下二つ割りになっている。この下半分を切り口を下にして定盤(じょうばん)と呼ばれる台にのせ、下枠を置いたのち、混練した鋳物砂を入れてよくつき固める。ついでこれを上下反転し、定盤を取り去り、模型の上半分を、鋳物砂に埋まっている模型の下半分の上にのせる。そして下型の砂の表面に雲母(うんも)粉を少量振りかけたのち、上枠をのせ、模型上半分の上に湯口棒を立ててから、混練した砂を入れてつき固める。その後湯口棒を抜き、上型を上方に持ち上げ、下型と離して反転して置く。先に下型の砂表面に雲母粉を振りかけるのは、このとき上型、下型の離れを容易にするためである。ついで上型、下型からそれぞれ模型を抜き取り、あらかじめ別につくって乾燥しておいた砂製の棒状の中子(なかご)を下型にはめる。このとき中子を正しい位置に置くために、模型には両端に幅木とよぶ突起をつけておき、砂型のこの突起に対応するくぼみに中子の両端がはまるようにする。中子をはめた下型の上に上型をかぶせると鋳型が完成する。金属を湯口から鋳込む場合は、上型が溶融金属によって浮かされるので、これに耐えるように十分な重石(おもし)を上型の上にのせておかなければならない。鋳物が凝固し適当な温度まで冷却したのち、鋳型を壊して製品を取り出す。壊された鋳型は崩して鋳物用砂として再生し、粘結剤、水分などを再調合して鋳型製作に繰り返し使用する。このように砂粒子を粘土と水で粘結した鋳型を生(なま)砂型とよび、もっとも広く用いられる。
生砂型は溶融金属の熱により水分が蒸発して製品に種々の欠陥を生ずる場合があり、これを防ぐために造型後乾燥することもあり、これを乾燥型という。また鋳型強度を高め、鋳型砂が溶融金属流に巻き込まれて生ずる種々の欠陥を防止するために、粘土以外の強力な粘結剤が用いられている。たとえばケイ酸ソーダ、セメント、石膏(せっこう)、さらに有機物としてフラン樹脂やフェノール樹脂が用いられる。フラン樹脂は酸性触媒の作用で常温硬化させ、フェノール樹脂は250℃前後の金属模型と接触させることにより熱硬化させて鋳型とする。後者はシェルモールドshell mouldとよばれ、広く利用されている。
[井川克也・原善四郎]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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鋳型【いがた】
鋳物をつくる際に溶融金属を注入する空所のある型。ふつう砂型または金型を用い,金型は小型量産品の製造に適する。ほかに石膏型,シェル型などがある。砂型は最も広く使用されるもので,ふつう製品形状に応じて上型と下型に分け,製品の型となる木型を鋳物砂(いものずな)に埋め砂を突き固めてから木型を抜く。木型には鋳型から抜き取る際の作業のしやすさのため抜け勾配(こうばい)を設ける。製品の鋳物は仕上加工のための仕上げ代が必要であり,凝固収縮して小さくなるので,その分も見込んで木型の大きさは設計される。鋳物に中空部分が必要なときは中子(なかご)を用いる。また鋳物の型に相当する空所のほか,溶融金属の入る湯口,湯道,あるいは押湯(おしゆ)などの空所もつくる。砂に水分を含んだまま鋳込むものを生(なま)型,事前に炉で乾燥するものを乾燥型という。→鋳物/鋳造
→関連項目金型|精密鋳造法|造型機
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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鋳型
いがた
casting mold(mould)
鋳造用の型。砂型,金型,特殊鋳型の別があり,またインゴット用と製品鋳物用も区別される。 (1) インゴット用 鋳鉄製が多く用いられ,内面は溶湯 (溶融金属) の融着を防ぎ離型しやすいように油脂,タール,黒鉛などを塗る。型から抜きやすいようにテーパをつけるが,小型の非鉄金属インゴットでは開放型も使われる。銅と銅合金では友型といって銅鋳型とすることもある。 (2) 製品鋳物用 砂型が主流であるが,ダイカスト,低圧鋳造などの普及で最近は金型も多くなっている。砂型は木製または金属製の原型 (模型) 周囲に鋳物砂と固結剤を詰めて造形する。最近は砂詰めに造形機 (モールディングマシン) による機械込めが多くなった。金型は鋳鉄または鋼製で,鋳造,切削,または彫刻して造形する。砂型でも金型でも,湯口 (溶融金属注入口) の位置,中子 (なかご) のつけ方,型合せの仕方などは,湯回り,ガス抜き,鋳物取出しの難易と関係するので,注意深く設計しなければならない。特殊鋳型はシェルモールド,石膏型,黒鉛型など種類が多く,多量生産あるいは精密鋳造などの目的に応じて使われている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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鋳型
DNAの複製やDNAからRNAへの転写において,もとになるヌクレオチドの鎖.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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鋳型
金属やガラスを流しこんで、製品を作るための型です。土や石などで作られます。
出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の鋳型の言及
【鋳物】より
…金属,合金を溶融し,目的の形状をもつ型(鋳型mold)の空洞に流し込んで凝固させた製品を広義の鋳物と呼ぶ。この意味では,鋳物には,そのままで製品や素形材を得るshaped casting(一般に鋳物と呼ばれる)と,その後,圧延,鍛造などを行うingot casting([インゴット])が含まれることになる。…
【鋳金】より
…鋳造(ちゆうぞう),鋳物(いもの)ともいう。加熱による金属の溶解性を利用したもので,金属を溶解してあらかじめ作っておいた鋳型(いがた)に流し込み,冷やしてから製品を鋳型から取り出して仕上げる技術。鋳型作製,金属の溶解鋳込み,仕上げの3工程に分けられる。…
【同笵鏡】より
…同一の鋳型または原型を使用して鋳造した複数の鏡をいう。笵は鋳型のことである。…
※「鋳型」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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