日本大百科全書(ニッポニカ) 「カイバト」の意味・わかりやすい解説
カイバト
かいばと / 飼鳩
鳥綱ハト目ハト科に属する鳥のうち、家禽(かきん)化されたハトの俗称。この仲間には二つの系統がある。第一はカワラバトColumba liviaの系統で、この種は南ヨーロッパから北アフリカ、中近東、インドに数亜種がある。それが完全家禽となり、伝書鳩、観賞鳩の品種となったものをカイバトとよぶ。すなわち、イエバトから半家禽化あるいは半野生化の状態にあるドバト(土鳩)を除いたものである。なお、イエバトの学名はすべてC. l. var. domesticaでダーウィンの人為淘汰(とうた)説の材料とされた。第二の系統はジュズカケバトStreptopelia‘risoria’で、この学名の野生種はないが、いろいろな実験や飼育観察には品種名でなく、この名が用いられている。この種は、アフリカ産のバライロシラコバトS. roseogriseaから古く家禽化されて飼い鳥品種となったものとされており、シラコバトS. decaoctoにも似ているが、それよりも著しく小形、淡色で、声も高く異なる。ジュズカケバトには、白色品種がありとくにギンバトとよばれるほか、中間の淡羽色のものもある。
[黒田長久]