カイヤドリヒドラ(読み)かいやどりひどら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カイヤドリヒドラ」の意味・わかりやすい解説

カイヤドリヒドラ
かいやどりひどら / 貝宿水
[学] Eugymnanthea inquilina

腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱ヒドロイド目コノハクラゲ科に属する海産微小動物。ポリプは群体をつくらず単体で、二枚貝のイガイの軟体部に付着して発見される。ポリプは円筒形で、伸長すると高さ約1.5ミリメートルに達する。上端の口を取り巻いて15~20本の糸状触手の環列があり、そのおのおのの触手の基部は水かき様の薄い膜でつながっている。ポリプの下端は小さな足盤となっており、それでイガイの体に付着している。生殖体はポリプの下半部に生じ、成長してやがて遊離してクラゲとなる。このクラゲにはすでに生殖腺(せん)がみられるが、一方、口柄や触手は痕跡(こんせき)的なものにすぎず、きわめて退化したものである。本種は静岡県下田(しもだ)の海岸で発見された。

 また、日本からは、本種と近縁のエウギムナンテア・ヤポニカEug. japonica(=Eutima cirrhifera)が北海道から九州まで広く、多くの二枚貝の種類のなかにきわめて普通に発見される。この種では、ポリプから遊離したクラゲは退化しておらず、コノハクラゲEutima japonicaとよく似たクラゲにまで発達する。

[山田真弓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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