日本大百科全書(ニッポニカ) 「カエンソウ」の意味・わかりやすい解説
カエンソウ
かえんそう / 火焔草
[学] Manettia cordifolia Mart. var. glabra Standl.
アカネ科(APG分類:アカネ科)の常緑のつる性多年草で、ブラジル南部、ペルーからアルゼンチンまで広い地域に分布する。葉は対生し、長卵形で、基部は心臓形となる。葉面に毛がない点が他種と異なる。花は葉腋(ようえき)に単生し、長さ4~5センチメートル、赤色筒状で冬から春に開き、強い嘔吐(おうと)作用があり、原地では薬用に供されるという。日本には嘉永(かえい)年間(1848~1854)に渡来したが、現在は栽培されない。マネッティア属は熱帯アメリカに約130種が分布する。近縁種のアラゲカエンソウM. inflata Spragueはウルグアイ、パラグアイに分布する。花は橙赤(とうせき)色筒状で、外面に粗い短毛を密生し、先端は黄色。じょうぶなつる性草本で、支柱に添わせるか、吊(つ)り鉢作りに向く。冬から春にかけて花を開く。挿木で殖やす。8℃以上で越冬する。
[高林成年 2021年5月21日]