日本大百科全書(ニッポニカ) 「カオリャンチウ」の意味・わかりやすい解説
カオリャンチウ
かおりゃんちう / 高粱酒
高粮酒
高粱酒(こうりゃんしゅ)。中国華北地方でおもに生産される蒸留酒。白乾児(パイカル)ともいい、貴州省の茅台酒(マオタイチウ)、山西省の汾酒(フェンチウ)、四川(しせん)省の大酒(ターチュイチウ)はその代表的なものである。アルコール分40~60%、微酸性で、密閉嫌気発酵の行われた独特な強烈な香りがする。味の深い名酒の一つである。おもな原料はコウリャンと麯子(きょくし)(日本の麹(こうじ)と酒母にあたる中国特有のもの)で、醸造法も固有の固形もろみ発酵による。
破砕したコウリャンを蒸し、床に広げて冷却する。これに、オオムギとアズキの粉を水で練り固め、室(むろ)に置いてカビ(リゾープス菌が主)を生やした麯子を混ぜ、少量の湯を加え、半固体状に練る。発酵槽は、地下穴を掘り、内側に木の枠またはれんがを張ったもので、ここに固形もろみを入れ、コウリャン殻をまき、泥土で目張りをして、密閉状態にして発酵を行わせる。10日間ぐらいで熟成もろみを取り出し、蒸籠(せいろう)式の単式蒸留機で蒸留する。このとき、新原料のコウリャンを混ぜ、蒸留とともに新原料の蒸し煮を行う。蒸留の済んだもろみは冷却後、麯子を加えて、ふたたび発酵させる。原料の利用効率が悪いため、5回くらい繰り返し行う。蒸留した酒は長年甕(かめ)に貯蔵して、熟成される。
[秋山裕一]